家庭内暴力
概要
ブラジルのマリア・ダ・ペーニャ法第5条は、女性に対する家庭内暴力を「女性に対し、死亡、傷害、あるいは身体的、性的、もしくは精神的苦痛、さらに精神的又は物的損害を引き起こすいかなる部類の作為、又は不作為」と定義しています。
実際には、暴力は、身体的、性的、(脅迫や支配的行動による)精神的、あるいは経済的など、さまざまな形で行われます。こどものいる場での暴力、あるいは、こどもや愛する人への脅迫を伴う場合、事態は、より深刻になります。中断されない限り、このような暴力の連鎖は結果として精神的トラウマ(心の傷)、傷害、あるいは死に至ることもあり得ます。
もし、あなた自身が、もしくはあなたの知り合いの方が家庭内暴力を受けている場合には、直ちに助けを求めることが重要です。非常用直通電話、保護施設、あるいはカウンセリング(相談援助)サービスなど様々な手段があります。
日本における家庭内暴力対策
日本では、社会的性別(ジェンダー)に基づく暴力は、人権に対する犯罪と考えられ、家庭内暴力は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(配偶者暴力防止法)の対象となっています。各都道府県では、カウンセリング(相談援助)、法務相談、被害者とその家族の一時保護対策、また、自立生活への支援などを行う支援センターが設置されています。さらに、各都道府県庁は、家庭内暴力の被害者である女性とそのこどものための保護施設を運営し、一時避難、経済的援助、あるいは心理相談も提供します。また、民間団体により運営される避難所の利用も可能です。
16歳未満の子供を持つ方の場合は、ブラジルも日本も「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」(1980年)の締約国であることを理解することが重要です。この条約に基づき、日本に居住するこどもが両親双方の許可なく国外に連れ出される場合、残された親は、原則として国際誘拐事件として訴訟を起こし、その子供の現居住国(日本)への返還を要求することができます。
よって、もし家庭内暴力の被害者である母親が、未成年の子供を父親の許可なく日本国外へ一緒に連れていく場合は、その家庭内暴力が行われた状況についての明確な証拠(警察への被害届、保護対策を命ずる法判決、支援サービスや避難所の利用、及び心理相談などの記録、重要証人、証拠となる写真、書類、又は録音など)を用意することが重要です。
傷害を伴う緊急事態の場合にとられるべき対応とは:
110番に通報してください。
在東京ブラジル総領事館による援助とは:
当領事館援助課は、あなた自身、又はあなたの知人が家庭内暴力による被害を受ける状態より脱するために必要な手続きにつき指導することができます。また、当館に相談される方の個人特定情報の秘匿を守りながらも、支援団体より協力を得る目的で連絡を取ることができます。さらに、当領事館では、専門家によるポルトガル語での社会心理相談及び法務相談サービスを無料で提供しています。
当領事館援助課では、私たちの活動分野において性別、年齢、在留資格に関係なく、すべてのブラジル人の方々に援助を提供いたします。そして、被害者本人の同意無しではいかなる手続きもとられませんので、心配せずにご相談ください。
- メール:assistenciaconsular.cgtoquio@itamaraty.gov.br
- 電話:03-5488-5665
- 受付時間:月曜-金曜 9:00 ‐13:00、及び14:00 – 16:30
また、更なる情報をお望みの方には、当領事館も参加して行われた、本テーマについてのライブ配信「日本での家庭内暴力の場合、どこに助けを求めるのでしょうか(ポルトガル語のみ)」の録画もどうぞご覧ください。
その他の日本での家庭内暴力の被害者への支援団体
LAM‐女性のためのヘルプライン | https://lamjapao.com/(ポルトガル語ウェブサイト) |
よりそいホットライン | https://www.since2011.net/yorisoi/(日本語・ポルトガル語ウェブサイト) |
LAL‐横浜いのちの電話 | http://lal-yokohama.org/home/(日本語・ポルトガル語ウェブサイト) |
SABJA‐在日ブラジル人支援サービス | 📞 050-6861-6400 https://www.nposabja.org/(日本語・ポルトガル語ウェブサイト) |
日本の都道府県・市区町村により運営される、家庭内暴力被害者のための支援及び相談センター
多くの市区町村では、通常「女性相談所」と呼ばれる女性支援施設を設置しています。
都道府県ごとのこれらの相談所の電話番号一覧表(日本語による対応) | クリックしてアクセス |
ブラジルで役立つ連絡先
1 | 法務・公共安全省‐連邦中央総務官庁(Autoridade Central Administrativa Federal, Ministério da Justiça e Cidadania) 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」(1980年)についてのブラジルの中央官庁 📞 (+55 61) 2027-3755 📧 acaf@mj.gov.br https://www.gov.br/mj/pt-br/assuntos/sua-protecao/cooperacao-internacional/acaf |
2 | 連邦国選弁護庁(Defensoria Pública da União) 📞 (+55 61) 3319-4380 📧 sic.haia@dpu.gov.br https://www.dpu.def.br/ |
3 | マリア・ダ・ペーニャ協会 📞 (+55 85) 4102 5429 ou (+55 85) 98897 6096 📧 atendimento@institutomariadapenha.org.br www.institutomariadapenha.org.br |